新年が明け、はやひと月。個人的には、ようやく心と身体が通常営業を開始した気分の私ですが、皆様はいかがお過ごしでしょうか。
ところでお正月にカレーが食べたくなるのって、あれは何故なんでしょうね? 昔のコマーシャルの影響? それとも、おせちという冷菜に対するホットなイメージの勝利?
しかし残念ながら今年はまだ、カレーを食べていません。というわけで、MOTIに来てみました。ああ、カレー! それもおうちじゃ食べられない、焼きたてナンつきのインドカレー! パリパリでもちふわのナンは本当においしくて、何枚でもいけそうです。そしてカレーはスパイシーかつマイルド。エビや野菜のうまみがじわっと感じられます。
食後にラッシーを飲みながら、ふと「カレーは食べる漢方薬」という言葉を思い出しました。コマーシャルに乗せられたわけではないけれど、ばたばたとしたイベントシーズンの後に、お腹もほっと一息というところです。
カレーを食べたら、気持ちよく汗をかきました。そこで目に入ってきたのが、濱文様の手ぬぐいです。柄や形が様々で、どれを買おうとか目が楽しく迷います。
そんな中、気に入ったのは手ぬぐい本。作家という商売柄、本にまつわるアイテムは素通りできません。これはグッドデザイン賞を受賞しているそうなのですが、それも納得。お店をさらに見ていると、今度は豆本を模したメモ帳が。本好きの心、鷲掴みです。私は二種類の「本」を買って、ほくほくと家路に着きました。
しかしこの充実感、どこかで覚えがあるな……。ぼんやりと考えながら歩いていたところ、近所の書店の前であっと声を上げてしまいました。カレーと本。これは、古書店好きにとっては黄金の組み合わせです。なぜ古書店街にカレーのお店が多いのかはいまだ謎ですが、二子玉川でこの気分を味わうとはびっくり。嬉し楽しいお散歩でありました。
1969年、東京生まれ。覆面作家。2002年に、ひきこもり探偵・鳥井真一とその友人・坂木司を主人公にした連作短編集『青空の卵』でデビュー。その他の作品は「ワーキング・ホリデー」、「和菓子のアン」など多数。