Dogwood Plaza

連載コラム ハナミズキサンポ

ハナミズキサンポ

来ましたね

  また春がめぐってきました。そう思うのは、自分が歳をとったからでしょうか。レ・ミルフォイユ・ドゥ・リベルテという花屋さんの前を通りかかると、桜の枝がざっくりと生けられているのが見えました。
  桜につられてお店に入ると、そこには色とりどりの花が咲き乱れています。レースのような花びらを持つチューリップや、香りのよいバラ。中には、青々とした麦の穂なんかも紛れています。そしてその花々を引き立てるのが、シックな内装。私、こういうくすんだブルーって大好きです。器もあえて統一せず、花によって使い分けられているあたりが、またお洒落。

  小さな花束を買いましょう。
  小さな自分のテーブルに。
  小さな春を、迎えるために。

  時間は先へ「進む」ものだけど、季節はここに「めぐり来る」もの。そう、「行く」んじゃなくて「来る」んです。

  めぐって来て嬉しいものが、私にはもう一つあります。レーンの上のお寿司です。そして廻転寿司CHOJIRO京都は、季節メニューの豊富な回転寿司のお店。
  ここに来たら、まず頼むべきは北海三昧。これはうに、いくら、ぼたん海老がセットになった上、揚げた海老のお頭がついてくるという素晴らしいメニュー。ていうかこれ、絶対おいしい。間違いがない。それをつつきながら、レーンの上を流れるおすすめを眺める幸せ。
  春らしいのは、桜鯛の握りでしょうか。醤油は不要だとのことで、そのまま頬張ると、鯛の向こうに桜の香りが吹き抜けます。塩漬けの花が、載っているのです。これはまさにスプリング・ハズ・カム。ここに来てよかった。春が来てよかった。
  ちなみにCHOJIROは、自社サイトに原産地とアレルゲンがきちんと表示されているところが好きです。というわけで、また「来たい」お店が一軒、増えました。

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Text by 坂木 司

1969年、東京生まれ。覆面作家。2002年に、ひきこもり探偵・鳥井真一とその友人・坂木司を主人公にした連作短編集『青空の卵』でデビュー。その他の作品は「ワーキング・ホリデー」、「和菓子のアン」など多数。

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