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連載コラム ハナミズキサンポ

ハナミズキサンポ

贈り物の季節

  冬。寒くなると人恋しくなる。そんなときは、とりあえずプラスエススパイラルマーケットに行く。並んでいる雑貨を見るともなく見ていると、ふと「ああ、これはあの人が喜びそうだな」という物に出会うことができるんだ。
  デザインされた虎の顔がついた絵皿。しばらく会っていない、気のいいあいつを思い出す。最後に会ったとき、こう言ってたっけ。
「和菓子とコロッケ、どっち載せても似合うような皿が、欲しいんだよなあ」
  だよなあ。女の子向けの可愛い雑貨はあちこちにあるけど、地味すぎず使い勝手のいいデザインって、案外見つけるの難しいんだよ。
  次に目が止まったのは、キツネやオオカミのカレンダー。これまた可愛いとは違う、シックな方向性のやつ。あげたいのは、文句の多い女友達。あいつで決まり。
「なんかさあ、野生の獣がラブリーキャラになってるのって許せないんだよね」
  ニコニコキラキラしていないあいつは、正直者だけど損をしがちで。でも、だからこそつきあいやすかった。
  決めた。この二つを買って、あいつらに会いに行こう。理由? サンタでもお歳暮でもどっちでもいいや。寒くなったから、って言ったら二人は笑うかな。

  学生時代から、ずっと三人で仲良くやってきた。でも二人が一緒に暮らしはじめてから、なんとなく遠ざかってた。別に彼女が好きだったわけじゃないけど、やっぱなんとなく、まあ、そういう感じになるじゃん?
  メールする前に、腹ごしらえ。というよりは、ちょっとした勢いをつけるためのカロリーを入れる。クアアイナで、生クリームがどかんと添えられたパンケーキ。ここはハンバーガーショップだから、男がパンケーキ食べるのにも敷居が低くていい。
  選ぶのは、パンケーキブリュレ。ぱりっとキャラメリゼされた表面に、とろりとしたカスタード。それを受け止めるパンケーキは、口どけが良くて軽い。ぺろりと平らげ、スマホをタップする。
  さて、口実は何にしようかな?

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Text by 坂木 司

1969年、東京生まれ。覆面作家。2002年に、ひきこもり探偵・鳥井真一とその友人・坂木司を主人公にした連作短編集『青空の卵』でデビュー。その他の作品は「ワーキング・ホリデー」、「和菓子のアン」など多数。

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