Dogwood Plaza

連載コラム ハナミズキサンポ

ハナミズキサンポ

あの広場

  あなたは、ドッグウッドプラザがいつからあるかご存知ですか? 2011年? いえいえ、それはリニューアルオープンの日付です。正解は1987年。なんと三十年も前。びっくりですよね。
  でもそれよりびっくりなのは、その三十年前のドッグウッドプラザが、今見ても「新しい」と思えるデザインだったことです。西海岸風のビーチハウスをイメージした外壁に、広々とした中庭。建物で遮られているので車道も見えず、小さい子供がいても安心でした。そしてそこにはパラソルつきのテーブルセットが置かれ、建物内のお店でテイクアウトしたものが食べられました。しかもいわゆるフードコートではないので、ただ座って本を読むのも自由で、すごく開けた空間でした。
  テイクアウトといえば、そちらもすごかった。タコスがメインのファストフードに、ロコモコとオムハヤシのお店。クレープリーにワッフル、さらにインドカレーやアジア料理、イタリアンに和風パスタまであって、選ぶのに迷ってしまう。ちなみに、今あったら絶対流行っているだろうと思うのは、フィラデルフィア風のステーキサンドイッチを出すお店。とろけるチーズと薄切り肉のステーキって、素敵すぎやしませんか。
  あと雑貨店も何軒か入っていて、お洒落なインナーウェアを扱うウンナナクールは、現在のドッグウッドプラザにも健在です。あ、カレーのモティもそうでしたね。ナンで包んだロティサリーチキンがおいしかった。

  と、ここまで読んで下さった方はお気づきかと思いますが、私が「まるで見てきたかのように」書いているのは、かつて本当にそこを「見てきた」からです。
  学生時代、友達と何度かドッグウッドプラザで待ち合わせをしました。初めて行ったときはお洒落さに気遅れしたものの、誰でも座っていいテーブルを見て安心したことを覚えています。青空の下、コーラとタコスチップで友達とだらだら喋る。甘いものが欲しくなったら、クレープやドーナツを買ってきてまた喋る。さらに友達が合流する。足もとを小さい子供が歩き回り、その横をお散歩中の犬が通り抜ける。黄金色の時間が、そこにはありました。
  というわけで、三十年。つまり今年は三十周年。自分が大人になってあの広場のエッセイを書くなんて、思ってもみなかった。すごい巡り合わせです。なのでちょっと、我がことのように嬉しい。
  ドッグウッドプラザ三十周年、おめでとうございます!

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Text by 坂木 司

1969年、東京生まれ。覆面作家。2002年に、ひきこもり探偵・鳥井真一とその友人・坂木司を主人公にした連作短編集『青空の卵』でデビュー。その他の作品は「ワーキング・ホリデー」、「和菓子のアン」など多数。

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